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【フォトレポート】シンポジウム《“低きに合わせる”のが、この国の生存権保障なのか? ~次に狙われる住宅扶助基準と冬季加算の削減~》野神健次郎

9月15日に東京駅前ビルで開催された生活保護関連シンポジウム《“低きに合わせる”のが、この国の生存権保障なのか? ~次に狙われる住宅扶助基準と冬季加算の削減~》(主催:「STOP!生活保護基準引き下げアクション」「住まいの貧困に取り組むネットワーク」)のお手軽レポートです。各写真の説明書きには徳武聡子さんのツイート(まとめ)を参照させていただきました。(写真と文章: 野神健次郎

会場

 なにやら殺風景な入口でしたが……? 中に入ってビックリな参加者の数!


吉永純教授、平山洋介教授

 最初に吉永純教授(花園大学)の基調報告『住宅扶助基準と冬季加算削減に向けた国の策略と問題点』。「住宅扶助は家賃(の金額)についてのみ支給されるもので、居住水準は問われないことが問題」「基準を下げると家主さんの収入も下がるので、賃貸事業者と連携することも必要」「暖房費(冬季加算)は寒冷地の命綱」などのお話がありました。

 つづいて平山洋介教授(神戸大学)による基調講演『住宅扶助基準引き下げに見る住宅政策の貧困』。「OECD諸国で家賃補助がない国は、日本と地中海周辺だけ」「個人ではなく、家族や企業などのグループメンバーを助けるのが日本。社会全体的に人間を支える仕組みがない」「パラサイトシングルとは、実は非正規雇用・低賃金で、親の家から出ようにも出られない人たち」「日本の住宅政策は、社会的再分配の役割を果たしていない」などのお話。


山脇武治さん、沼田崇子さん、川西浩之さん

 山脇武治さん(宮城県生活と健康を守る会連合会事務局長)の『家賃高騰に悩む被災地からの声』。「物件なしの状況がつづき、新築ラッシュがはじまったが、保護基準では借りられない家賃」「基準が低すぎる」などの報告です。

 沼田崇子さん(岩手県二戸保健福祉環境センター福祉課長)による『寒冷地における冬季加算の役割』。「冬季加算を見直すのは、生活保護を受けながら死ねということか」「冬の寒さは個人の努力ではどうしようもない」「これ以上の冬季加算の削減はあってはならない」などのご報告。

 川西浩之さんの『車イス利用者の住宅事情』。「生活には車イスが必要だが、今の住宅を探すまでに門前払いなどもされた」「住宅扶助が下がるとまた家を探さなければならないが、とても不安」「今日の会場には段差があり、車イスではひっくり返ってしまう。こういう場所では開催しないで欲しい」などの報告でした。


徳武聡子さん,増子啓三さん,沖縄からのビデオレター

 徳武聡子さん(全国訴訟ネット事務局)による『生活保護基準引き下げにNO! 訴訟の最新情報』。「生活保護を利用しながら「お上にたてつく」のは容易ではないが、多くの利用者が抗議しているので、今後とも応援をお願いします」などのお話です。

 増子啓三さん(全国年金者組合)の『年金切り下げに12万超の不服申立て』。「4割の人が、低所得が理由で国民年金を納められない」「将来の無年金につながる恐れ」などの報告でした。

 沖縄からのビデオレター。「冷暖房を使わない時期はないので、夏季加算も必要なのに、冬季加算も削られるのでは……」「削減ばかりすると、逆に病気の人が増えるのではないか」などの意見が報告されました。


シゲカズさん、稲葉剛さん、尾藤廣喜さん

 会場からはたくさんのご意見、質問の声が上がりました。上の写真の男性はシゲカズさん。

 司会進行役は稲葉剛さん(住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人)。

 最後のまとめは尾藤廣喜弁護士(生活保護問題対策全国会議代表幹事)。「政府は所得再分配ではなく、低きに合わせるという考え方」「住まいは人権」「今日の話を広めてください」などのお話で締めくくられました。

(写真と文章: 野神健次郎


※この記事のリンク用短縮URLです。 ⇒ http://nationalminimum.xrea.jp/140915report

みわよしこさんが「貧困ジャーナリズム大賞2014」、さいきまこさんが「貧困ジャーナリズム特別賞」を受賞されました

2014年09月04日、「貧困ジャーナリズム大賞2014」(「反貧困ネットワーク」主催)の各賞発表と表彰が行なわれました。
「貧困ジャーナリズム大賞には、みわよしこさん(フリーランスライター)のダイヤモンド・オンラインなどでの一連の生活保護報道」が選ばれました。
さらに「貧困ジャーナリズム特別賞」に、さいきまこさんの漫画作品『陽のあたる家~生活保護に支えられて』(秋田書店)が受賞しました。

みわさん、さいきさん、おめでとうございます!(※お2人は「STOP!生活保護基準引き下げ」アクションのメンバーです)

生活保護を始めとする社会保障制度の改悪が政府によって強引に進められている状況です。
そのような中、お2人の受賞は大変に明るいニュースでした。
みわよしこさん、さいきまこさん、今後ともよろしくお願いします!


◆貧困ジャーナリズム大賞◆

みわよしこ(ジャーナリスト)
「ダイヤモンド・オンラインなどでの一連の生活保護報道」

山崎一洋社会部部長代理以下、下野新聞社編集局「子どもの希望」取材班
「下野新聞 長期連載 キャンペーン報道『希望って何ですか 貧困の中の子ども』」

 

◆貧困ジャーナリズム特別賞◆

さいきまこ(漫画家)
「『マンガでわかる生活保護 陽のあたる家~生活保護に支えられて』秋田書店『フォアミセス』」

NHK 青山浩平、山崎啓明、和田雄介など「ハートネットTV」取材班
「ETVハートネットTV『子どもクライシス』シリーズなど、子どもの貧困に焦点を当てた一連の番組」

 

◆貧困ジャーナリズム賞◆

チーフ・プロデューサー 陸田元一;監修・豊中市社会福祉協議会 コミュニティ・ソーシャル・ワーカー 勝部麗子
「NHKドラマ『サイレント・プア』第1回〜9回」

TBS 報道局 秋山浩之プロデューサー、阪野悦子ディレクター
「TBS報道特集『生活保護“改革”のもとで親族にも影響が』2014年7月19日放送」

山陽放送 報道部 米澤秀敏
「山陽放送 RSK地域スペシャル メッセージ『格差社会を生きる 〜ホームレス2013〜』など地方都市・岡山におけるホームレス報道」

毎日新聞 水戸支局 蒔田備憲
「毎日新聞佐賀支局および水戸支局における難病に関する一連の記事および単行本『難病カルテ』の出版」

朝日新聞 今村優莉、今村尚徳、岡林佐和、山田佳奈、尾形聡彦
「朝日新聞 連載『女が生きる 男が生きる』の第2シリーズ」
「そこにある貧困」編および「そこにある貧困」反響編

西日本新聞 社会部 竹次稔、森井徹
「西日本新聞 官製ワーキングプアをめぐる一連の報道」

東京新聞 論説委員 上坂修子
「東京新聞 生活困窮者の立場での生活保護『改革』をめぐる一連の報道」

ジャーナリスト横田増生、週刊文春編集部 白川遼太郎
「週刊文春『ユニクロでの障がい者社員へのいじめ・パワハラ告発』報道」2014年5月1日号

週刊東洋経済 野村明弘、風間直樹
「週刊東洋経済『特集 雇用がゆがむ 官製ベア・残業代ゼロ・解雇解禁の点と線』2014年5月24日号


※関連する記事【「貧困ジャーナリズム大賞」はネット発信のみわよしこさんと下野新聞の連載
水島宏(法政大学教授/元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター)


※この記事のリンク用短縮URLです。 ⇒ http://nationalminimum.xrea.jp/hinkonj2014

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