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全国「精神病」者集団《生活保護法改悪に反対します》声明

全国「精神病」者集団が《生活保護法改悪に反対します》声明を2013年6月15日に発表しました。その全文を転載させていただきます。

☆転載開始☆

生活保護法改悪に反対します

2013年6月15日

全国「精神病」者集団

このビラはこちら 生活保護法改悪に反対します からダウンロードできます。今国会採決阻止のためにご活用ください

1.はじめに

生活保護は国民の権利であり、最低生活の保障は国家の義務である。
私たち、多くの精神障害者にとって、生活保護は所得補償の重要な制度だ。我々は障害者の所得補償を要求しているが、なかなか実行されない中で、障害年金だけで暮らしはなりたたない。その不足分を補うため、生活保護を利用している障害者の生活の基盤を脅かすのは止めて欲しい。
親からの自立のため、長年にわたる精神科病院入院から退院するために、生活保護は不可欠である。何故、障害者だけが親元から離れて暮らすことが許されないのだろうか。
現在、就労不可の障害者が自立するためには、生活保護が少額の障害年金を補う唯一の手段である。その生活保護制度を利用しにくくする今回の改定には強く抗議する。

2.生活保護費の中の精神科入院費

厚生労働省HPより平成19年度の予算によると、生活保護費の50.4%を占めるのが医療扶助費である。
その医療扶助費の24.5%を占めるのが精神科病院への入院医療費だ。 保護費の増大の原因のひとつが精神科病院への入院の増加である。
そもそも、日本の精神病床数は世界中の精神病床数の5分の1にあたり、32万人という異常な患者数である。
一日に隔離室の隔離患者数:7,741人
一日に身体的拘束を行っている患者数:5,109人
終日閉鎖されている病棟にいる患者数:140,075人
10年以上入院している入院患者数:91,345人
20年以上入院している入院患者数:47,923人
国連人権委員会、拷問等禁止委員会の再三の改善要求にも関わらず、病床数の具体的な削減目標も定めず、地域における精神障害者施策の予算のほとんどが医療観察法関連施設に使われている現状で、生活保護基準切下げと生活保護利用を抑制しようとする動きは障害者の自立を損ない、生活レベルを劣化させるもので、到底容認できない。
生活保護費を抑えたいのであれば、まず精神科病院入院者の早期退院を実現すべきである。

3.不正受給ってそんなにあるの?

生活保護増加は頭打ち 一部政治家とマスコミの生活保護バッシングキャンペーンで、生活保護世帯のほとんどが不正受給をしているかのようなイメージが蔓延しているが、不正受給は金額ベースで1.6%程度である。98.4%の人々は少ない生活費でまじめに暮らしている。今回の引き下げではそういう人々も含めて行われようとしている。
またバッシングのせいで、体調を崩し症状を悪化させている障害者が多くいる。耐えられなくなって命を絶つ者までいるのだ。
単なるイメージや気分ではなく、データに基づいた冷静な議論を望む。
さらに、生活保護利用者の増加は月平均増加数で、2009年1.7万人から2012年5300人、2013年1・2月平均2000人と頭打ちの状態となっている。来年には消費税が8%になるにも関わらず、生活保護費を削減し生活保護法を改悪するのはいかがなものだろうか。

4.貧困の連鎖を断て

生活保護世帯の子どもたちにとって、扶養義務の強化は自らの夢を捨て去ることを意味する。高等教育を受けるためにアルバイトしてもその中から役所に月に5千円程度納めなくてはならない。収入認定と呼ばれる制度のためだ。
奨学金を利用する学生が多いが、就職した後にそれの返済+親の扶養を課せられたら、子どもたち自身の生活を圧迫することになる。
2004年の社会保障審議会福祉部会生活保護制度の在り方に関する専門委員会で、「利用しやすく自立しやすい制度へ」と提案されたが、この改定では利用が抑制されるのは明らかである。
申請書提出を開始要件とし、三親等以内の親族に扶養できないことを書面で立証することを求めている。生活保護を利用しようとする人やその親族の情報を、勤め先や金融機関に報告させることで、親族間に軋轢を生むのは必至である。
ただでさえ、日本において生活保護利用者への差別・偏見は根強いものがあり、本来政府はそのようなスティグマ解消に動かねばならない。経済的弱者の救済を親族に求めるのではなく、社会の責任として引き受けていくべきである。

5.この法案に賛成する議員の方々へ

我々は、この法案が成立した場合は今まで以上に餓死・孤立死が増えると予想している。最後のセーフティネットである生活保護を利用しにくくする法案だからである。現在、厚労省の試算でも生活保護の利用率は3割に留まっている。利用できるのに利用しないでいる人々が600万人から700万人いることになる。
何故、利用しないのか。スティグマがあるからである。扶養義務の強化により、「親族に迷惑をかけたくない」という気持ちから申請を断念し、周囲との関係を切らざるを得なくなる。助けをどこにも求められなくなった人がどうなるか火を見るより明らかだ。
賛成する議員には、改定を進めた結果に責任を取っていただきたい。この法案には命がかかっていることを忘れないで欲しい。

以 上

☆転載終了☆

 

※この記事のリンク用短縮URLです。⇒ http://nationalminimum.xrea.jp/jngmdp130615

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